2023年8月16日

「五穀:漢方医学の視点から見る穀物の健康への影響」

漢方医学の理念は、バランスを保ちながら健康を追求することにあります。
五行の考え方は、このバランスを保つための枠組みであり、私たちの主食である「穀物」にも深く関わっています。

 

「五穀豊穣(ごこくほうじょう)」という言葉を耳にすることがあると思いますが、五行の理論に基づくと、穀物は「麻」「麦」「米」「黍きび」「大豆」の5つに分けられ、それぞれが特定の臓器と関連付けられています。
これを「五穀」とし、以下のように作用するといわれます。

 

・麻は「肝」
・麦は「心」
・米は「脾」
・黍は「肺」
・大豆は「腎」

 

これらの穀物がそれぞれの臓器に作用するという考え方は、漢方医学の中で二千年以上の歴史を持つ重要な概念です。

 

しかしながら、現代医学では、これらの穀物が持つ栄養価に目を奪われがちです。
対照的に、漢方医学はこれらの穀物の持つ「氣(エネルギー)」を重視しています。

 

麻が日本の古代から食されてきた穀物であることは知られていますが、近年ではその地位が低下してしまいました。
氣の視点から見ると、単に食べるだけでなく「身に着ける」ことも重要であり、そうすることで自然界からの目に見えないエネルギーを取り込み、活用できると考えられます。

 

「薬草」「薬石」といった言葉からも察せられるように、自然素材が持つ氣に注目することは、健康管理においても重要な要素と言えるでしょう。
このような視点を取り入れることで、私たちは栄養面だけでなく、身体全体のバランスを保ちながら、自然からのエネルギーを受け入れる方法を見つけることができるかもしれません。