漢方の世界には「冬病夏治」という理論があります。
これは、陰気が盛んで陽気が乏しい寒い季節に症状が出やすい病気は、陽気に満ちあふれている夏の期間に治療するという意味の言葉です。
冬にひどくなる症状として、代表的なものにはぜんそく、気管支炎、皮膚炎、鼻炎、リウマチ、関節痛、頭痛、肩こり、風邪、そして冷え性などが挙げられます。
これらは、寒さや冷えが原因で引き起こされる症状ですから、寒さや冷えのない夏の季節に治療しやすいはずです。
しかし、現代の気候は大きく変わってしまいました。
我々の体温よりも高温な気温を耳にしても驚かなくなってしまったほどです。
昔は暑い夏にきゅうりやスイカなどの食べ物で体を冷やしていましたが、現代はどこでもエアコンが効いているため、夏でも体は冷えています。
暑さをしのぐためにクーラーを使い、冷たい飲み物やかき氷、アイスなども食べていますので、冷えを積み重ねてしまっています。
その結果、夏でも体を冷やす結果なってしまい、レッグウォーマーや腹巻が必要になることもあります。
このような環境で過ごしているため、夏の間に治すどころか、夏にも症状を悪化させてしまっている可能性があることを自覚する必要があります。
しかし、ちょっとした心掛けで解決できることもあります。
例えば、クーラーの設定温度を適切に調整したり、氷が入った飲み物を控えたり、寝る前に湯舟に浸かったり、汗をかいたらしっかり乾かしたり、汗をかいているときに直接クーラーや扇風機に当たらないようにしたり、なるべく温かい料理を食べたりすることが大切です。
健康的に一年を過ごすための心得えのひとつとして、今年の夏は体を冷やしすぎないことを意識して過ごしてみることをお勧めします。