2023年6月7日

「漢方医学から見た日常生活の姿勢と健康」

漢方医学の観点から、日常生活の姿勢が過労や病気にどのような影響を与えるのかについて興味深い考察ができます。

 

漢方医学では、「五労」と呼ばれる姿勢によるトラブルが存在します。
具体的には、
「久行(きゅうこう)」すれば肝をやぶり、
「久視(きゅうし)」すれば心をやぶり、
「久坐(きゅうざ)」すれば脾をやぶり、
「久臥(きゅうが)」すれば肺をやぶり、
「久立(きゅうりつ)」すれば腎をやぶる とされています。

 

例えば、「久立」はずっと立ち仕事をしている方に起こりやすく、腎にトラブルが生じる可能性があります。
立ち仕事による過労は、膀胱炎などの症状に関連しているとされています。

 

また、「久臥」はずっと伏せているまたは横になっている状態を指し、肺や皮膚に関連した姿勢です。
この状態が長く続くと床ずれや肺炎などの問題が起こる可能性があります。

 

走りすぎや歩きすぎは肝に負担をかけることが知られています。
特にスポーツ選手などの過労による症状は「久行」として、肝に現れやすいです。

 

さらに、日常生活では複合的な要素が考えられます。
お仕事で長時間座りっぱなしでパソコンの作業を行っている場合、「久座」と「久視」の影響が心と脾に現れます。

 

このような状況を見直すには、前回取り上げた大過不及の考えがつながります。

 

日常生活の姿勢が過労や病気に影響があり、「五労」にある通り過度な姿勢や動作は特定の臓腑にダメージを与える可能性がありますが、適度な運動や異なる姿勢を取り入れることで連動する臓腑のエネルギーを増やすことができます。

 

座りっぱなしでパソコン作業を続ける方は、休日には散歩に出かけるなど、意識的に普段していない姿勢を取り入れることが大切です。
姿勢の変化によって、連動する臓腑のバランスがとれ、健康につながると考えられます。

 

このように、日常生活の姿勢と健康の関係性を考えることはとても重要です。

 

適度な運動と、普段の姿勢の変化を意識してみてください。